ヴォータンの妻 結婚の女神。
フライアの兄。ハンマーを持つ勇猛な神。
半神半人。狡猾。
ライン川の水面を美しい三人姉妹の妖精が遊んでいます。 そこへ小人のアルベリッヒがやってきて、妖精を捕まえようとします。 「私の愛人になっておくれ」 妖精のひとりのヴォークリンデを捕まえようとしながら、アルベリッヒは叫びました。ヴォークリンデはスルリと身をかわしながら、逃げました。 「あんたには、つかまらないわよ」 するとアルベリッヒは姉さんのヴェルグンデに襲い掛かりました。 「まあなんて醜い男。私を好きになるとは、ずうずうしいわ」 すると末っ子のフロスヒルデが川のほとりの岩の上で、いたずらっぽく微笑みながら、ささやきました。 「まあなんてかわいそうなお方。わたしのほうへいらっしゃい。」
アルベリッヒはミーメを見つけると、 「なんだお前、まだ働きもせず、ぐずぐずさぼっていたのか。また痛い目にあいたいのか。」 とにらみました。 しかしミーメのあとから見慣れぬ、来訪者をみつけると 「なにかあっしにようですか?」 と尋ねました。 ヴォータンは口を開いた。 「ちかごろこの国では、アルベリッヒという男が不思議な力を振るっている、という話を聞いてね。是非その力を見たい、とおもってここへきたのだよ。」 アルベリッヒは叫びます。 「あんたたちがなにか悪巧みを考えていることは、こちらもお見通しだ。」 ローゲは言いました。 「なんと無礼なやつだ。われわれをだれだと思っているのだ。」 アルベリッヒは続けた。 「とにかく俺はなにも恐れん。たとえ天上の神々までもだ。おれの手下どもが積み上げた宝の山をみたか!あれで今日1日分だ。」 ヴォータンは言った。 「ほう、あんな宝の山は見たこともない。それは羨ましい限りだ。しかしこんな暗闇の洞窟のなかで、この宝の山はなんの役に立つのかね。ここには何の楽しみもない。これこそ宝の持ち腐れだね。」 アルベリッヒは目をむいた。 「この洞窟は宝を隠しておくのにもってこいなのさ。この宝を使って、この世を征服するのだ。天上の神々が悦楽に浸っている間にな。」 ヴォータンは激昂した。 「なんという不埒なやつ。消えてしまえ!」 ローゲは仲を割って、落ち着いて言った。 「まあまあまあ。それは大変なことだ。しかしどうやってお前はその宝をつかって世界を征服するのかね。お前が眠っているあいだに、お前の不実な子分たちが持ち逃げするとは限らんぞ。」 アルベリッヒは狡猾そうに笑うと 「ローゲ、お前は自分が一番賢いとおもっているようだが、おれはもっと賢い。よーく聞けよ。おれはミーメに魔法の兜を作らせたのだ。これをかぶれば何にでもなれる。姿をくらましたり、怪物になったりなんいでもなれるのだ。」